2010年1月28日に い草の産地 熊本県へ研修に行ってきました。
熊本県の八代市に到着。さっそく い草を育てている田んぼをチェック。11月に植えつけられたばかりなので、まだまだ短いです。
10月~11月の寒くなる時期に い草の植え付けをし、1月~2月の間に根を張ります。
そして、5月~6月にかけての暖かくなる時期に一気に草が伸び、6月の梅雨時期に成長がピークになります。
い業研究所へ
熊本県の農業研究センターである「い業研究所」にお話を聞きにいきました。
この研究所は、平坦水田地帯における主力部門である「いぐさ」と「野菜」に関する試験研究を通じて地域農業の発展に寄与することを目指しており、いぐさ部門においては、品種改良、栽培技術や畳表の加工技術及び畳以外の他用途加工技術の開発に取り組んでいます。
い草の品種によっての違いを見せてもらいました。
一言に い草といっても品種は様々です。従来から栽培されている「きよなみ」・「岡山3号」といわれている い草や、品種改良された「夕凪」、「ひのみどり」、「ひのはるか」という種類の い草があります。
生産量は、「ひのみどり」が一番おおくて約55%ほど、「夕凪」が15%で「ひのはるか」が10%ほどだそうです。
い草からゴザを織るための織機を見せて頂きました。
天津 謙治さんの い草工場へ
親子三人でやっていて、息子さんで四代目(僕と同じ)になるそうです。
とても大きな工場で、ゴザを織る機械が6台おいてありました。
上の写真は、い草を長さで選別したものになり、右から一番草、二番草・・・五番草で、一番草を高級品用のゴザに、五番草を下級品用のゴザに使います。
次に、い草が折れていないか、枯れている草が混じっていないかを目でチェック。一束のチェック時間はなんと十秒前後!
その後、い草を織り機にセットしゴザを作ります。織る速度を遅くすると作れる枚数は少ないけど腰のあるゴザが織れ、早くすると沢山の枚数が織れるけど腰がなく 織りムラが出やすいそうです。
最後に、奥さんがゴザに切れやムラがないかの検品作業です。この検品作業の良し悪しで、ゴザの値段が変わったりするそうです。
橋口 英明さんの い草工場へ
工場の中に入ると「あれ、暗い」と思い聞いてみたら「窓からの光でい草が日に焼けないように黒色の分厚いカーテンで覆っています」とのこと。
また橋口さんは、い草をとっても細く作っていて、織り機をすごく遅くし一日に作れる枚数を少なくしてでも上級品・上質なゴザを作っているそうです。
できたゴザを触らせてもらいましたが、艶がありさらっとした肌触りでごっついゴザに仕上がっていました。
ゴザを保管してある倉庫には、加湿器が三台置いてありエアコンがまわっていました。毎日、室温と湿度を管理して、一番良い状態に保っているそうです。
ここまで徹底してる農家さんは一割もなく、この橋口さんは農林水産大臣賞を受賞しているほどのい草作り・ゴザ作りの名人なんです。
でも「まだ一度も納得のいくゴザが作れていない。毎日、あ~でもない、こ~でもないと考えながら、どうしたらいいゴザになるか試行錯誤して作っています」とのこと。
い草農家さんの想い
「中国産には価格では絶対勝てない。でも中国産なんてどうでもいいんです。自分が納得できるような品物を一生懸命に作る事が私は大事だと思っています。それで畳屋さんやお客さんが喜んでくれたら嬉しい。どうか国産のゴザを使って下さい。本当に命かけて作ってますから」と話してくれました。
産地まで行って農家さんと話をする畳店は、ほとんどいないのが現状です。でも、産地に行って農家さんと話ができ本当に良かった。中国産に押され現状はとても苦しい中、い草作り・ゴザ作りに対する情熱、熱意、こだわりを教えてもらいました。
い草農家さんの想いをのせて、玉木畳店はこれからも心をこめた畳を作っていきます。ありがとうございました。
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